浦和地方裁判所 昭和57年(ワ)1057号 判決
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【判旨】
次に、同4(責任原因)の事実について検討する。
1 まず、本件事故発生の態様について検討するに、<証拠>によれば、被告は昭和五四年九月一三日本件給湯器を設置した際、屋内水道管と本件給湯器を接続するのにゴムホース管(内径一〇ミリ管)を使用したものであること、被告は、本件給湯器の給水口の突起部分に、本件給湯器所定の金具を装着したうえ、右金具に前記ゴムホース差し込んだこと、しかし、右金具にゴムホースを差し込んだ部分を正規の帯止金をもつて固定すべきであつたところ、右帯止金が給湯器と別梱包になつていたため被告において当日これを持参せず、被告はこの応急措置として右部分に細い針金を二回巻きつける措置をとつたこと、そして被告は、右状態のまま、水道の元栓を開いて本件給湯器を使用しうるものとして原告らに引渡し、その後事故が発生するまでの六日間にわたつて正規の帯止金に交換する措置をとらなかつたこと、そのため同月一九日に至つて、水道の水圧によつてゴムホースが右金具から外れて本件事故が発生したこと、もつて右ゴムホースを通じて水道の水が噴出し、原告らが共稼ぎのため日中留守であつたことから、水道水が二階の部屋に流れ込み、さらに二階の床下から一階の天井裏に溜り、一階の床上及び押入れ等に落下して新築家屋が広く水濡れしたり、床上浸水する被害が発生したこと、以上の事実を認めることができ<る。>
右の事実によれば、本件において、被告は、水道管と本件給湯器とを接続すべき注水管として、正規の金属製の自在管(フレキシブル)を使用するか、仮にゴムホース管を使用するにしても一端に正規の帯止金を使用してこれを固定すべきであるのに(右事実は当事者間に争いがない)、被告はこれをせず、単に細い針金をゴムホース管の上から二回巻きつけるという応急措置を施したに止まり、しかも六日間も正規の帯止金に取り換えることをせず使用に供させた過失があるものといわなければならない。
よつて、被告は民法七〇九条に基づき原告らが被つた後記損害を賠償すべき義務がある。
2 なお、原告らは、被告の過失内容として、本件給湯器と水道管を接続すべき注水管として本来直径一三ミリ管を使用すべきであること、蓮田市水道課においてゴムホース管の使用を禁止していたことを主張するが、当不当の問題としては格別、本来直径一三ミリ管を使用すべきとの点及びゴムホース管の使用が禁止されているとの点についてはこれを認めるに足る証拠はなく、右主張は失当といわなければならない。
また原告らは、被告がゴムホース管を本来給水口に接続すべきところタンク水抜栓に接続した旨主張し、右主張に副う原告斉藤究本人の供述もあるが、前記認定のとおり、被告は本件給湯器の給水口に所定の金具を取り付けたうえゴムホース管を差し込んだことが認められ、右原告斉藤究の供述はにわかに措信することができず、他に右主張を認めるに足る証拠はない。
3 また、被告の主張として、被告は原告斉藤千鶴子に対し留守にする際には水道管の分岐水栓を締めておくように注意し、原告らはこれを怠つた過失がある旨主張するが、右主張に副う被告本人の供述は原告斉藤千鶴子本人尋問の結果に照らして措信できず、他に本件事故発生につき原告らに過失があつたことを認め得るに足る証拠は存在しない。 (永田誠一)